花瀬琴音の生い立ち|家族・学生時代、安室奈美恵への憧れから女優になるまで

「花瀬琴音の生い立ち」の見出しと若い女性の人物イラストを配し、家族・学生時代、安室奈美恵への憧れから女優になるまでの歩みを伝えるビジュアル

PROFILE

人物プロフィール

ふりがな
はなせことね
カテゴリー
女優
出身地
東京都
生年月日
2002年4月22日
芸能活動開始
2017年
女優デビュー
2017年
デビューのきっかけ
劇団・養成所

2002年4月22日生まれ、東京都出身の花瀬琴音さんは、映画『遠いところ』の主演や『すずめの戸締まり』の海部千果役、2025年公開の映画『8番出口』などで知られる女優です。

映画で花瀬さんを知った人も多いかもしれませんが、演技の仕事は中学生の頃から始まっていました

さらにさかのぼると、芸能の世界に興味を持った入口には、母親が大好きだった歌手・安室奈美恵さんの存在があります。

小学生で芸能スクールへ通い、歌やダンスも習いながら芝居を選び、中学生でドラマや舞台に出演し、その後はフリーで自分からオーディションを受ける時期も経験しました。

今回は、そんな花瀬琴音さんの生い立ちや家族、学生時代、芸能界へ入ったきっかけ、女優として演技を始めて映画初主演へ至るまでをご紹介します。

花瀬琴音の家族|関西出身の両親と母から受け継いだ安室奈美恵への憧れ

花瀬さんの家族について公に語られている内容は多くありませんが、芸能界へ興味を持つきっかけに関わる両親とのエピソードはいくつか残っています。

とりわけ母親の好きだった音楽は、花瀬さんが小学生で芸能の世界へ足を踏み入れるきっかけになりました。

東京で育ち、家庭では関西弁が身近だった

花瀬さんは2002年4月22日に東京都で生まれ、東京で育ちました

一方で両親はともに関西出身で、幼い頃から家庭では関西弁が身近にある環境だったことを後年のインタビューで明かしています。

後年、花瀬さんは自分の仕事を支えてきた人として両親にも触れ、「長い間支えてくれた親に恩返しをしたい」という趣旨を語っています。

本人の出身地は東京都なので、「関西出身」という情報は花瀬さん自身ではなく両親のルーツを指します。

家族の職業や兄弟姉妹については本人や所属先による確かな公表が見当たらず、確認できる範囲では両親との具体的な思い出が中心です。

家庭で耳にしていた関西弁は、後年に大阪弁を使う役へ取り組んだ際にも、花瀬さん自身が幼い頃から親しんできた言葉として語っています。

母の影響で安室奈美恵に憧れ、小学生でスクールへ

芸能界へ興味を持つきっかけになったのは、母親が大ファンだった安室奈美恵さんでした。

母の影響で花瀬さん自身も安室さんを好きになり、小さい頃には歌を仕事にすることを思い描くようになります。

そして小学生になると、演技やダンスなどを学ぶ芸能スクールへ通い始めました。

後に映画『遠いところ』の撮影で沖縄へ入った際、以前に沖縄を訪れたのは安室さんのコンサート以来だったとも振り返っています。

花瀬琴音の学生時代|歌やダンスより芝居に惹かれた10代

小学生でレッスンを始めた花瀬さんは、10代になると「習う側」から実際の作品へ出演する段階へ進みます。

小学校・中学校・高校の具体的な校名は公表されていませんが、中学生以降のドラマや舞台の活動記録は残っています。

スクールで演技を学び、女優の道を選ぶ

芸能スクールでは歌、ダンス、演技を経験しましたが、本人が選んだのは芝居でした。

私は歌やダンスよりも演技が楽しいなと思って女優の道を選びました。

出典:日刊スポーツ「花瀬琴音 映画「遠いところ」で初主演「見た方がどう思ったのかを大事に」インタビュー」(2023年7月7日)

サン アクターズ スクールの公式サイトには卒業生として花瀬さんの名前が掲載され、初期の出演実績としてドラマ『下剋上アイドル』と舞台『Time Limit Wedding』が記録されています。

本人が小学生から通ったと話すスクールの正式名称は公表されておらず、サン アクターズ スクールへ通った時期までは分かっていません。

中学生で『下剋上アイドル』主演と舞台出演へ

2017年4月、チバテレビの番組内で放送されたドラマ『下剋上アイドル』に高円寺夏海役で主演しました。

サン・オフィスの当時の公式ページには花瀬さんの出演が記録され、同年4月の舞台紹介では「メンバー最年少の中学生」と紹介されています。

当時の舞台紹介では、大人びた一面がありながら中学生らしいあどけなさもある人物として紹介され、出演者の中で年齢が最も若い立場でした。

翌5月には新宿シアターブラッツで上演された舞台『Time Limit Wedding』にも出演しました。

さらに同じ2017年にはドラマ『派遣社員ひよこ』にも出演しており、中学生のうちにドラマと舞台の両方で演技経験を重ねていました

映画『遠いところ』は花瀬琴音さんの「映画初主演作」ですが、女優としての演技活動そのものは中学時代のドラマ・舞台までさかのぼれます。

高校時代も舞台を重ねながら演技を続ける

中学卒業後も演技の仕事は続き、16歳だった2018年9月には舞台『Like a Child』へ出演しました。

同作の公式記録には、それ以前の舞台『RIVER SIDE STORY ~ネコの世界』への出演歴も掲載されています。

2020年12月にも舞台『レディ・ア・ゴーゴー!! 2020』へ出演しており、10代を通して舞台の仕事を続けていました。

事務所所属を経てフリーへ|自分でオーディションを受けた時期

花瀬さんの場合、芸能スクールへ通い始めた時期、中学生で事務所に所属していた時期、実際にドラマや舞台へ出演し始めた時期はそれぞれ分かれています。

中学生の頃にはサン・オフィス所属で出演記録があり、その後、SMAへ所属する前にはフリーで活動した時期も本人が明かしています。

中学生時代はサン・オフィスに所属

2017年の『Time Limit Wedding』公式ブログでは、花瀬さんはサン・オフィス所属として出演者欄に名前が掲載されています。

同じ時期に『下剋上アイドル』で主演しているため、少なくとも中学生の頃には事務所に所属しながら実際の現場へ出ていました。

サン・オフィスへの所属開始・終了年月は公表されていませんが、2017年には同社所属として活動していました。

フリーになっても舞台や映画へ自分から応募

2022年に所属を発表したSMAへ入る前、花瀬さんには事務所に属さず自分で仕事を探していた時期がありました。

事務所に入る前はフリーで活動していて、自分でオーディションを受けて舞台や映画に出てました。

出典:anan「優里のMVにも出演! 花瀬琴音「やりたいと思ったら考える前に行動しちゃう」」(『anan』2023年5月24日号)

本人はこの頃について、やりたいと思ったら考える前に行動してしまうとも話しています。

SMAへ所属してから急に演技を始めたのではなく、それ以前に自分で応募しながら現場へ出る期間があったことになります。

自分でオーディションを受けながら演技を続けた時期の先に、映画『遠いところ』との出会いがあります。

『遠いところ』への挑戦|18歳で600人超のオーディションから映画初主演へ

10代の舞台活動を経た後、花瀬さんは工藤将亮監督の映画『遠いところ』のオーディションを受けます。

2020年から2021年に東京と沖縄で行われたオーディションを経て主人公アオイに選ばれ、映画初主演を務めました。

舞台を観ていたプロデューサーから声をかけられる

『遠いところ』のオーディションを受ける入口は、ネットで募集を見つけただけではなく、それまで続けてきた舞台の現場にありました。

花瀬さんが出演していた舞台を観に来ていた同作のプロデューサーが客席におり、終演後に作品の内容を伝えたうえでオーディションへ誘ったと本人が明かしています。

オーディションに来ないかって声をかけられて受けました。

出典:UNIVERSAL PRESS「映画『遠いところ』東京国際映画祭トークイベントに工藤将亮監督、主演の花瀬琴音が登壇!」(2024年11月6日)

声をかけられた時点で主演が決まったわけではなく、その先のオーディションを受けています。

オーディションでは男性とのけんかの場面を演じた際に花瀬さんがやり返す芝居を見せ、その「野性的な部分」がスタッフの目に留まったと日刊スポーツの取材で振り返っています。

花瀬さん自身は合格すると思っていなかったそうですが、沖縄で役作りを始め、現地で人々の話を聞くうちに作品を背負う責任を強く感じるようになったと振り返っています。

主演決定後に用意された役を覚えるだけではなく、現地へ入り、アオイに近い環境で暮らす人の言葉を聞くところから撮影準備が始まりました。

工藤監督も後年のトークイベントで、当時の花瀬さんが事務所へ所属する前だったことを明かしました。

その選考を経て、600人超の中からアオイ役に選ばれました

高校卒業直後、沖縄で1カ月以上かけてアオイをつくる

撮影に入ったのは高校を卒業した直後の18歳でした。

東京生まれ・東京育ちの花瀬さんが演じるのは、沖縄市コザで暮らす17歳の母・アオイです。

花瀬さんは撮影前から沖縄へ入り、現地で生活しながら言葉や暮らし方を身体に入れていきました。

1カ月半、アオイを見つける作業をしました。

出典:琉球新報「沖縄の貧困、若年出産描く話題作・映画『遠いところ』、工藤将亮監督・花瀬琴音さんにインタビュー」(2023年7月11日)

本人は標準語や聞き慣れた関西弁を意識的に遠ざけ、ラジオで沖縄の言葉を聞き、街のおじいやおばあと会話しながら方言を身につけたと話しています。

本人はまず「沖縄の人」になることを意識し、次に17歳の少女としての感覚、その後に母親としての感覚を探すという順番で役へ近づいていったと説明しています。

監督側も現地の店で働く女性たちと交流できる環境をつくり、花瀬さんは撮影用のセットで生活しながら土地の日常へ入っていきました。

役と同じような境遇にある若い母親や女性たちとも実際に会い、生活や子育てについて話を聞きました。

話を聞いた中には、仕事をしながら子どもの迎えを優先する母親たちもおり、花瀬さんは年齢や生活状況にかかわらず子どもを思う気持ちを役づくりへ取り入れました。

さらに撮影直前まで台本の全体を渡されず、あらかじめ作った芝居を再現するより、現地で得た感覚をその場で出す方法が取られました。

沖縄での準備期間は、映画公式資料では「撮影1カ月前から」、本人のインタビューでは「1カ月半」、工藤監督の後年の説明では「撮影2カ月前に入った」と表現に差がありますが、1カ月以上にわたって現地で役作りをしていた点は共通しています。

母や友人との連絡も断って撮影へ

アオイは追い込まれても周囲へ助けを求めることができない人物で、花瀬さんはその感覚へ近づくために自分の日常にも制限をかけました。

東京にいる母親や友人から心配する連絡が届いても、役作りの間は返信しなかったといいます。

東京で心配して連絡をくれるお母さんや友達にも、一切連絡をとりませんでした。

出典:NB Press Online「「母や友達にも一切連絡をとらなかった」映画主演デビュー花瀬琴音のインタビュー&場面写真解禁。映画『遠いところ』」(2023年5月31日)

一方で、作品にハードな場面が含まれることについては、撮影前に母親へ内容を見てもらい、確認を取ってから現場へ入ったとも明かしています。

役作りでは連絡を絶ちながら、撮影へ入る判断では母と確認するという二つの出来事が同じ作品の中にあります。

こうして花瀬さんは、東京での普段の生活から距離を置き、沖縄でアオイとして過ごす時間を経て撮影へ入りました。

映画公開までに広がった活動|『東京リベンジャーズ』からSMA所属へ

『遠いところ』は撮影後すぐ全国公開されたわけではなく、海外映画祭などを経て2023年に日本で公開されました。

その間にも花瀬さんは舞台へ立ち、所属先が変わり、声の仕事にも初めて挑戦しています。

2021年に舞台『東京リベンジャーズ』で橘日向を演じる

2021年には、和久井健さんの漫画を原作とする舞台『東京リベンジャーズ』で橘日向役に起用されました。

公式サイトのコメントでは、もともと原作を読んでいた作品だったことを明かし、ヒナとして舞台に立てることへの驚きと喜びを語っています。

大阪、東京、横浜で行われた初演は全17公演を終え、花瀬さんも大千秋楽の日に本人Xで公演を振り返りました。

この初演だけで終わらず、花瀬さんは2022年の「血のハロウィン編」、2023年の「聖夜決戦編」でも橘日向を演じています。

SMA所属後、『すずめの戸締まり』で声の仕事へ

2022年6月、花瀬さんは本人Xでソニー・ミュージックアーティスツへの所属を発表しました。

同年11月11日に公開された新海誠監督のアニメーション映画『すずめの戸締まり』では、愛媛で鈴芽と出会う高校生・海部千果の声を担当します。

舞台や実写作品を重ねてきた花瀬さんにとって、声だけで人物を演じる新しい仕事がここで加わりました。

2023年、『遠いところ』全国公開で映画初主演作が届く

『遠いところ』は2023年6月9日に沖縄で先行公開され、同年7月7日から全国公開されました。

日本での劇場公開に先立ち、第56回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭のコンペティション部門など海外の映画祭でも上映され、撮影から約2年を経て国内の観客へ届きました。

撮影から公開までには時間がありましたが、花瀬さんは公開時のインタビューで作品を見返し、撮影時の自分の演技を改めて振り返っています。

その演技は公開後の映画賞でも評価され、2024年には第33回日本映画批評家大賞で新人女優賞を受賞しました。

同じ作品では第37回高崎映画祭の最優秀新人俳優賞も受賞しており、10代で撮影した初主演作が公開後にも評価される形になりました。

授賞式では、作品づくりのために話を聞いた若い母親たちの思いにも触れながら、『遠いところ』を完成させたことを自分の言葉で語っています。

その後も映画出演は続き、2025年8月29日公開の『8番出口』にもキャストとして名を連ねました。

『遠いところ』が全国の観客へ届いた後も、花瀬さんは舞台、声の仕事、実写映画それぞれで出演を重ねています。