PROFILE
人物プロフィール
NHK連続テレビ小説『ばけばけ』で根岸を演じた北野秀気(きたの・ひでき)さん。
2024年には『新宿野戦病院』『虎に翼』、2025年には『いつか、無重力の宙で』にも出演し、テレビドラマで名前を知った人も多い俳優です。
そんな北野さんの経歴をさかのぼると、テレビよりずっと前にあったのが、大阪芸術大学でミュージカルを学びながら参加した学生演劇でした。
2016年には学生劇団の舞台に立ち、大学在学中から主演を経験。
卒業した2019年には80人を超える応募があった舞台『チャンソ』のオーディションを経てキャストに選ばれ、主演を務めています。
その後、関西演劇祭では2020年にアクター賞、2022年にはベストアクター賞を受賞し、舞台の活動場所も大阪から東京へ広がっていきました。
今回は、そんな北野秀気さんの生い立ちや家族にまつわる幼少期の記憶、学生時代から俳優として舞台と映像へ活動を広げるまでをご紹介します。
北野秀気の生い立ち|大阪府出身、ミュージカルを学んだ学生時代
1995年、大阪府出身
北野秀気さんは、1995年8月19日生まれ、大阪府出身です。
所属する吉本興業のプロフィールでは、俳優として紹介され、特技にはスポーツ、韓国語、ミュージカルが挙げられています。
小学校・中学校・高校について具体的な学校名を裏付けられる確かな情報は限られていますが、進学先については大阪芸術大学であることが明らかになっています。
芸能事務所のスカウトから始まった経歴ではなく、大学で舞台芸術を学び、その中で演技の経験を積んでいった人物です。
大阪芸術大学でミュージカルを専攻
進学したのは、大阪芸術大学舞台芸術学科ミュージカルコースでした。
北野さんは同コースを2019年に卒業しています。
大学で選んだのは、歌だけでもダンスだけでもなく、舞台上で人物を演じるミュージカルの世界でした。
在学中の出演記録を見ると、授業だけで舞台を学んでいたわけではありません。
学生による劇団の公演に加え、卒業公演や映像学科の制作作品にも出演し、舞台と映像の両方で演じています。
2018年には大阪芸術大学の卒業公演『サウンド・オブ・ミュージック』でトラップ大佐役を担当し、主演を務めました。
同じ2018年には、大阪芸術大学映像学科の卒業制作映画『火ノ兎』でも主演しています。
北野秀気さんはテレビドラマへ進む前から、大学時代に舞台主演と学生映画の主演を経験していました。
2016年、学生劇団「白の鸚鵡」で舞台に立つ
北野さんの大学時代をたどるうえで外せないのが、学生劇団「白の鸚鵡(しろのおうむ)」です。
白の鸚鵡は2015年、大阪芸術大学舞台芸術学科の学生を中心に結成された集団でした。
2016年3月に開催された道頓堀学生演劇祭Vol.9では『エルドラドを探して』を上演し、出演者の中に北野さんの名前があります。
この作品で白の鸚鵡は同演劇祭の最優秀劇団賞を受賞しました。
『エルドラドを探して』は同年8月に東京・シアターグリーン BASE THEATERでも上演され、北野さんも出演しています。
所属事務所のプロフィールより前まで記録を広げると、少なくとも2016年には学生俳優として舞台に立っていたことが分かります。
北野秀気の家族|子ども時代に残る家庭のエピソード
北野秀気さんの父親・母親・兄弟姉妹など、家族構成を詳しく紹介できる情報は多くありません。
一方で、北野さん自身が幼いころの家庭を振り返った、ちょっと微笑ましい食卓の記憶が残っています。
近所からもらったキムチを水ですすいで食べていた幼少期
2026年9月にNHK FMで放送されたFMシアター『キムチの嫌いな俺』でラジオドラマ初主演を務めた際、北野さんは作品にちなんで子どものころのキムチの思い出を明かしています。
北野さんの家では、近所の人からキムチをもらうことがあったそうです。
幼い北野さんにはかなり辛かったようですが、それでも食べたがったため、家では水ですすいでから食べさせていたと振り返っています。
小さい頃は、辛くて泣いちゃうんですが、それでも食べたがっていた
出典:WEBザテレビジョン「北野秀気、ラジオドラマ初主演作放送へ コメントも到着『そんなもんです。人間って』<キムチの嫌いな俺>」(2026年9月3日)
水ですすいだ後は赤みがなくなっていても、辛さとうまさは残っていたことを覚えているとも語っています。
父親や母親の人物像をこの話だけから読み取ることはできませんが、幼いころから辛いものを食べたがる子どもだったという一場面は、北野さん自身の言葉で残された貴重な幼少期の記憶です。
北野さんが語ったのは「僕の家」での食卓の思い出です。家族の職業や構成については、このエピソードから推測せずに分けて考える必要があります。
大学時代から主演を経験|俳優として舞台に立ち始める
2017年『盗みは夜半の月のように』で主演
2016年に『エルドラドを探して』へ出演した後も、白の鸚鵡での舞台活動は続きます。
吉本興業の出演歴では、2017年の白の鸚鵡第4回公演『盗みは夜半の月のように』でマサヨシ役を演じ、主演したことが記録されています。
学生演劇祭への参加から翌年には主演という位置へ進んでおり、大学在学中に演じる経験を重ねていたことが分かります。
北野さんの受賞歴には、道頓堀学生演劇祭Vol.10の優秀助演男優賞も残っています。
大学を卒業してから突然俳優を始めたのではなく、学生時代の数年間に舞台公演と演劇祭を経験していたわけです。
『サウンド・オブ・ミュージック』と『火ノ兎』で主演
2018年になると、大学内での仕事でも主演が続きました。
大阪芸術大学の卒業公演『サウンド・オブ・ミュージック』では、物語の中心人物の一人であるトラップ大佐役を演じています。
さらに大阪芸術大学映像学科の卒業制作『火ノ兎』にも主演。
舞台芸術学科でミュージカルを学びながら、学生映画でもカメラの前に立っていたことになります。
そのため北野さんの場合、「舞台俳優を続けた後に初めて映像演技を経験した」という単純な順序ではありません。
舞台を活動の中心にしながら、大学時代から映像での主演経験も持っていました。
大学卒業後の『チャンソ』|オーディションから主演へ
2019年に大阪芸術大学を卒業した北野さんにとって、同年の舞台『チャンソ』はその後の経歴をたどるうえで大きな作品になりました。
おうさか学生演劇祭、劇団May、一心寺シアター倶楽による協同プロデュース作品で、作・演出は金哲義さんです。
80人を超える応募者からキャスト入り
『チャンソ』では、2018年12月のヒロインオーディションと2019年3月の全体オーディションが行われました。
劇団Mayの記録では、延べ80人を超える応募者の中から26人がキャストに選ばれたとされています。
その26人の中に北野さんも入りました。
さらに吉本興業のプロフィールでは、『チャンソ』で主演を務めたことが記録されています。
大学内の公演から、オーディションで選ばれる外部のプロデュース公演へ。
大学を卒業した2019年に、オーディションを経て主演の舞台に立ったという流れになります。
同じ2019年にはTheatre 0 Project『真情あふるる軽薄さ』でも青年役で主演しており、卒業後も舞台出演が途切れていません。
劇団Mayとの出会いがその後も続く
『チャンソ』でできた劇団Mayとの接点は、一度限りではありませんでした。
翌2020年には、Mayの『タンデム・ボーダー・バード』に出演して関西演劇祭へ参加します。
さらに2022年には同作品の「関西演劇祭 in Tokyo」にも出演し、新宿シアタートップスの舞台に立ちました。
学生演劇から『チャンソ』、そして関西演劇祭へと、同じ関西の演劇人との関係を保ちながら舞台が続いています。
2021年には、関西演劇祭のYouTube企画で北野さんと鄭梨花さんがMayについて語るトーク動画も制作されており、出演者側から劇団の歩みを振り返る機会もありました。
関西演劇祭で2度受賞|舞台俳優として活動の幅を広げる
2020年にMayでアクター賞を受賞
2020年の関西演劇祭では、May『タンデム・ボーダー・バード』がMVO(最優秀作品賞)に選ばれました。
作・演出の金哲義さんは脚本賞とベスト演出賞を受賞し、北野さんにはアクター賞が贈られています。
北野秀気さんの受賞名は、2020年が「アクター賞」、2022年が「ベストアクター賞」です。2回の受賞は同じ賞名ではありません。
2022年に関西演劇祭の座談会へ参加した際、北野さんは、学生劇団時代から一緒に活動してきた人たちとの変化にも触れています。
学生劇団の仲間の中から先に関西演劇祭へ出演した北野さんを周囲の仲間も観に来て、その後は演劇祭を一つの目標に掲げる人が増えたと話しました。
周りがアツなったなと思います。
出典:関西演劇祭「座談会第5夜vs関西演劇祭OBOG」(2022年11月9日)
北野さん自身は、演劇祭を経験して考え方が大きく変わったわけではないとも話しています。
本人にとっての変化を大げさに語るのではなく、学生演劇から一緒だった周囲の熱が変わったという話です。
2022年にはTAACでベストアクター賞
2022年、北野さんは再び関西演劇祭へ参加します。
このとき所属した作品はMayではなく、タカイアキフミさんが作・演出を手掛けたTAAC『GOOD BOYS』でした。
関西演劇祭2022ではTAACがベスト演出賞などを受賞し、北野さんはベストアクター賞に選ばれています。
2020年はMayでアクター賞、2022年はTAACでベストアクター賞。
異なる参加作品で2度、俳優として賞を受けたことになります。
その後の舞台も大阪だけにはとどまりません。
2023年には大阪松竹座の『夜曲〜ノクターン〜』で虎清役を演じ、東京・紀伊國屋ホールでは『新・幕末純情伝』『熱海殺人事件 バトルロイヤル50’s』などに出演しました。
『熱海殺人事件 バトルロイヤル50’s』の稽古場取材では、北野さんを含む出演者が本公演への意気込みを語る映像も残っています。
大旅軍団のメンバーとして全国の舞台へ
北野さんの舞台活動には、劇団やプロデュース公演への客演だけでなく、大旅軍団での活動もあります。
吉本興業のプロフィールでも、大旅軍団所属と明記されています。
2022年には沖縄で第一回酒公演『だるま』を上演し、北野さんも出演しました。
大旅軍団は、北野秀気さん、長山知史さん、柴野航輝さん、吉田将さんによる演劇ユニット。2022年の『だるま』以降も公演を重ねています。
2024年には『新熱海殺人事件』『手の中の林檎』、2026年には『ああケンネル』へ出演しており、学生劇団時代から続く舞台活動はその後も途切れていません。
2025年には、新国立劇場『焼肉ドラゴン』の公募オーディションを経て金時生役にも選ばれました。
合格の連絡を受けたのは、公園でぼんやりしていたときだったそうです。
とりあえず滑り台3回滑りましたね。
出典:ステージウェブ「新国立劇場『焼肉ドラゴン』9年ぶり四度目の上演、12月には作品史上初の中劇場で凱旋公演」(2025年)
学生時代からオーディションを経て役をつかんできた北野さんらしい、合格時の具体的な一場面です。
舞台を軸に映像作品へ|『新・ミナミの帝王』から『ばけばけ』まで
北野さんは大学時代の2018年に映画『火ノ兎』へ主演していたため、映像で演じ始めたのはテレビドラマ出演より前です。
一方、テレビドラマへの出演が継続して確認できるようになるのは、舞台で経験を積んだ後の時期でした。
『新・ミナミの帝王』からテレビドラマ出演が続く
2022年には、関西テレビ『新・ミナミの帝王』で野間洋平役を演じています。
2023年にはテレビ東京『ウルトラマンブレーザー』に守口役で出演。
2024年になると、NHK BS時代劇『あきない世傳 金と銀』、フジテレビ『新宿野戦病院』、NHK連続テレビ小説『虎に翼』、NHK『宙わたる教室』など出演作が続きました。
『新宿野戦病院』では第8話の後藤和真役、『虎に翼』では第118回の学生被告役、『宙わたる教室』では第7話の院生役を担当しています。
大学時代から積み重ねてきた舞台出演を止めて映像へ移ったのではなく、舞台へ出演しながらテレビドラマや映画の仕事も増えていった形です。
『新宿野戦病院』『虎に翼』を経て『ばけばけ』へ
2025年にはNHK連続テレビ小説『ばけばけ』で根岸役を演じました。
根岸は、田中亨さん演じる若宮とともに、松江から東京へ出て帝国大学で学ぶ学生として登場します。
東京へ銀二郎を探しに来たトキは、錦織や銀二郎と同じ下宿で暮らす根岸と若宮にも出会いました。
松江から東京へ出て学び、「自分たちが新しい日本をつくる」という志を持つ若者として描かれた役です。
学生演劇から舞台を中心に経験を積んできた北野さんは、『新宿野戦病院』『虎に翼』『ばけばけ』など、テレビドラマでも異なる役を重ねています。
同じ2025年には、NHK『いつか、無重力の宙で』で山名役も演じています。
その一方で舞台では新国立劇場『焼肉ドラゴン』に出演するなど、映像作品が増えた後も劇場での活動は続きました。
2016年に大阪芸術大学の学生劇団で舞台に立っていた北野さんは、学生演劇、外部公演のオーディション、関西演劇祭を経て、舞台と映像の両方で役を重ねてきました。
『ばけばけ』で帝大生・根岸を演じるまでには、大阪の学生演劇から始まった約10年の舞台経験がありました。















