PROFILE
人物プロフィール
NHK連続テレビ小説『虎に翼』の女学校教師役や、サントリー「金麦」のCMなどで伊勢佳世さんを知った人も多いかもしれません。
映像作品で目にする機会が増えるずっと前から、伊勢さんの仕事の中心にあったのは舞台でした。
1981年に神奈川県で生まれ、法政大学へ進んだあと、大学在学中に俳優座の養成所で芝居を学び始めています。
さらに家族をたどると、祖父、父、兄がそれぞれ映像の仕事に関わっており、2021年には父が監督したドキュメンタリーで家族と同じ作品にも参加しました。
今回は、そんな伊勢佳世さんの生い立ちや家族、学生時代、俳優座で芝居を学んだ時期、イキウメへの参加と退団、その後の活動までをご紹介します。
伊勢佳世の生い立ちと家族|父・兄・祖父が映像に関わる一家
伊勢佳世さんは1981年5月30日生まれ、神奈川県出身です。
本人の俳優人生をたどる前に知っておきたいのが、映像の仕事に携わってきた家族の存在です。
1981年に神奈川県で生まれた伊勢佳世
伊勢佳世さんは1981年5月30日に神奈川県で生まれました。
所属事務所のプロフィールでは、身長164センチで、特技として陸上競技と器械体操が挙げられています。
公表されている俳優としての経歴が具体的になるのは、法政大学へ進み、在学中に演技を学び始めてからです。
その大学時代へ進む前に、伊勢さんが育った家族には、映画やドキュメンタリーに長く携わってきた人物がいました。
父・伊勢真一、兄・伊勢朋矢、祖父・伊勢長之助
伊勢さんの祖父は、戦前から記録映画の制作に携わった伊勢長之助さんです。
長之助さんは記録映画の編集者として活動し、戦時中にはインドネシアのジャワで国策映画の制作にも関わりました。
父の伊勢真一さんはドキュメンタリー映像作家として活動し、長之助さんの足跡を長年追い続けています。
兄の伊勢朋矢さんもディレクターとして映像制作に携わっています。
伊勢家の映像に関わる家族
祖父・伊勢長之助=記録映画の制作・編集に携わった人物
父・伊勢真一=ドキュメンタリー映像作家
兄・伊勢朋矢=ディレクター
伊勢佳世=俳優
祖父、父、兄が映像に関わる家族の中で、佳世さんは俳優という表現の道へ進みました。
一方、本人の経歴で具体的な演技への入口として示されているのは、大学在学中の俳優座養成所への入所です。
映像に携わる家族の存在と、本人が俳優として歩き始めた出来事は分けて見ることで、確認できる人生の時間軸が明確になります。
父のドキュメンタリーで家族の記憶をたどる
家族それぞれの仕事が一つの作品で交わったのが、2021年公開のドキュメンタリー映画『いまはむかし 父・ジャワ・幻のフィルム』でした。
父・伊勢真一さんが監督を務め、祖父・伊勢長之助さんの足跡と、戦時中にジャワで作られた国策映画の行方を追った作品です。
伊勢真一さんは父の仕事を知るために長期間にわたって取材を続け、その過程ではオランダに保存されていた当時のフィルムも見つかりました。
やがてその旅には、長男の伊勢朋矢さんと長女の伊勢佳世さんも参加します。
佳世さんは出演だけでなく、作品の語りも担当しました。
いせフィルム公式YouTubeの予告編では、祖父から父、そして孫の世代へと記憶が手渡されていく作品の内容を映像で確認できます。
伊勢真一さんは神戸映画資料館のインタビューで、NHKのドキュメンタリーで娘のナレーションを聞いたことが、佳世さんを語り手に起用するきっかけの一つだったと明かしています。
父が長く続けてきたドキュメンタリーの仕事に、娘は俳優として積み重ねてきた「声」で参加することになりました。
伊勢佳世の学生時代|法政大学女子高で鈴木奈穂子と同級生
伊勢さんの学生時代でよく知られているのが、NHKアナウンサーの鈴木奈穂子さんとの関係です。
二人は法政大学女子高等学校の同級生で、大人になってからもメールを送り合ったり、ときどき会ったりする交流が続きました。
高校1年で同じクラス、卒業後も続いた交流
伊勢佳世さんと鈴木奈穂子さんは、高校1年生のときに同じクラスでした。
通っていたのは法政大学女子高等学校です。
2024年に鈴木さんが『あさイチ』で語ったところでは、伊勢さんとは出演の前月にもメールをしており、ときどき会う間柄でした。
高校時代だけの知り合いではなく、卒業後も続いてきた友人関係だったことが分かります。
学校名について:伊勢さんと鈴木さんが通った当時は「法政大学女子高等学校」です。同校は2018年4月に共学化し、「法政大学国際高等学校」へ校名を変更しました。
2026年に二人が『あさイチ』で共演した際には、伊勢さんが鈴木さんを高校時代からの呼び名である「ナオフィー」と呼ぶ場面もありました。
高校時代の友人関係は、のちに伊勢さんが朝ドラへ出演したとき、思わぬ形で再び表に出ることになります。
法政大学人間環境学部へ進学
高校卒業後は法政大学人間環境学部へ進学しました。
2007年に山口情報芸術センターが公開したプロフィールにも、法政大学人間環境学部を卒業したことが記載されています。
所属事務所のプロフィールは大学を選んだ理由には触れていませんが、大学在学中から俳優としての進路が具体的に動き始めたことを記しています。
法政大学在学中に劇団俳優座養成所へ入り、芝居の基礎を学びました。
大学へ通いながら、もう一方では専門的な演技の訓練を受ける生活が始まったことになります。
ここから先は、学生時代と俳優としての初期活動が重なって進んでいきます。
大学在学中に俳優座養成所へ|舞台女優として歩き始める
伊勢さんの場合、「芸能界に入ったこと」と「演技を始めたこと」の間に、モデルやアイドルなど別分野の活動は挟まっていません。
大学在学中に俳優座で演技を学び、そのまま舞台へ立つ流れで俳優としてのキャリアが始まりました。
大学と並行して芝居の基礎を学ぶ
所属事務所のプロフィールには、法政大学人間環境学部在学中に劇団俳優座養成所へ入所し、芝居の基礎を学んだとあります。
一方、2007年の山口情報芸術センターの公演資料では、「俳優座演技研究所を経て2002年俳優座入団」と記されています。
資料によって「養成所」「演技研究所」と表記は異なりますが、大学時代に俳優座で演技を学び、2002年には俳優座の舞台へ進んでいた時系列は確認できます。
2002年に俳優座へ入り、公演『友達』に出演した記録が残っています。
つまり、伊勢さんの俳優としての初期活動は、大学時代の演技訓練から舞台出演へとそのまま続いていました。
20代前半には、すでに劇場で俳優として仕事を始めていたことになります。
2002年から俳優座公演へ、2004年には外部舞台へ
2002年の『友達』に続き、2003年には俳優座公演『薔薇の館』、2004年には『ザ・ダイニングルーム』へ出演しました。
2004年には世田谷パブリックシアター主催の『見よ、飛行機の高く飛べるを』にも出演し、俳優座の外へ活動が広がっています。
さらに2005年には俳優座公演『湖の秋』や、外部公演の『ソウル市民』などへ出演しました。
2006年には『ソウル市民』のフランス・アヴィニョン演劇祭公演にも参加し、舞台で経験する作品や場所が広がっていきます。
同じ2006年にはNHKドラマ『あの夏、60年目の恋文』への出演歴もあり、舞台を軸にしながら映像の仕事も始まっていました。
「デビュー年」の表記には違いがあります。
日本タレント名鑑は2004年の『見よ飛行機の高く飛べるを』をデビュー作としていますが、2007年のYCAM公演資料には2002年『友達』への出演記録があります。そのため、この記事では2004年を「最初の演技仕事」とは断定せず、2002年から確認できる舞台活動と名鑑上のデビュー年を分けて扱います。
2007年には世田谷パブリックシアターの『死のバリエーション』などにも出演しています。
この時期はテレビで広く知られるより前で、俳優座公演と外部舞台を行き来しながら舞台経験を積んでいた時期でした。
そして2008年、長く活動することになる劇団との出会いが訪れます。
2008年にイキウメ参加|『図書館的人生vol.2』から始まった8年間
2008年、伊勢さんは劇作家・演出家の前川知大さんが主宰するイキウメへ参加しました。
俳優座で舞台に立ち始めてから数年を経たあとに始まった、次の大きな活動期です。
前川知大との出会いから劇団員へ
きっかけになった作品は、2008年の『図書館的人生vol.2』でした。
2016年の退団時、伊勢さん自身がこの作品との出会いを振り返っています。
「図書館的人生vol.2」という作品に関わったことをご縁に、劇団員となり
出典:イキウメ「伊勢佳世、岩本幸子 退団のお知らせ」(2016年6月7日)
同年には『イキウメ試演会Ⅱ 煙の先』にも出演し、その後は劇団員として作品づくりに加わっていきます。
所属事務所やNODA・MAPのプロフィールには、イキウメ参加後、退団までほぼすべての作品に出演したと記されています。
一度の客演で終わらず、ここから2016年まで約8年間にわたる劇団での活動が続きました。
ほぼ全作品に出演したイキウメ時代
2008年から2016年までのイキウメ時代は、伊勢佳世さんの舞台キャリアで長く続いた活動期でした。
劇団では前川知大さんの作品に継続して出演し、一つの作品だけではなく、劇団の創作を長く支えるメンバーとして舞台に立っています。
イキウメ時代の代表的な舞台
『散歩する侵略者』/『太陽』/『聖地X』など。所属事務所のプロフィールでも、2008年の参加以降ほぼ全作品に出演した経歴が紹介されています。
劇団公演だけに閉じていたわけではなく、所属中も外部公演へ出演しながら舞台での仕事を続けました。
退団時の本人コメントには、劇団員たちと笑ったことや、ときにはぶつかりながら作品を作ったことも記されています。
伊勢さんにとって、イキウメで作品を作った年月は大切な時間だったことが、その退団コメントから伝わってきます。
だからこそ、2016年の退団は短期間で決められたものではありませんでした。
2016年「芝居の世界をもっと外側に広げたい」と退団
イキウメ主宰の前川知大さんは、伊勢さんから退団の意向を聞いたのは2015年春だったと説明しています。
劇団ではすぐに結論を出さず、一年以上にわたって話し合いを続けました。
最後の区切りとなったのは2016年春の『太陽』で、この公演をもって伊勢さんはイキウメを離れています。
退団の理由は、劇団や演劇から離れたかったからではありません。
芝居の世界をもっと外側に広げてみたい
出典:イキウメ「伊勢佳世、岩本幸子 退団のお知らせ」(2016年6月7日)
前川さんも伊勢さんから聞いた理由を「もっと自分の可能性を試したい」と記しており、劇団側は時間をかけた話し合いの末に決断を受け入れました。
2016年の退団は、舞台をやめる区切りではなく、活動する場所を劇団の外へ広げるための選択でした。
その言葉どおり、翌年以降も舞台出演は続き、劇団の外にあるさまざまな演出家や作品との仕事が増えていきます。
イキウメ退団後|舞台から映像・ナレーションへ広がった活動
イキウメを離れたあとも、伊勢さんの仕事の中心から舞台が消えたわけではありません。
外部の舞台へ継続して立ちながら、テレビドラマ、映画、CM、ナレーションへと出演の場が広がっていきました。
劇団の外で舞台・ドラマ・映画へ
退団翌年の2017年にはシス・カンパニー公演『令嬢ジュリー』や新国立劇場『マリアの首』に出演しました。
2018年にはこまつ座『父と暮せば』、2019年にはNODA・MAP『Q:A Night At The Kabuki』へ出演しています。
『Q』は伊勢さんにとってNODA・MAP初参加の作品でした。
2022年の再演では同じ主要キャストが再集結し、東京、ロンドン、大阪、台北を巡る公演にも参加しています。
舞台以外では、ドラマ『地味にスゴイ!〜校閲ガール・河野悦子』でレギュラー出演し、その後も『美しい彼 シーズン2』など映像作品への出演を重ねました。
映画では『劇場版 美しい彼〜eternal〜』などに出演し、ナレーションでもNHKのドキュメンタリーをはじめ複数の仕事を担当しています。
CMでは2025年にサントリー「金麦」の『完璧な午後』篇へ出演し、竹野内豊さん演じる男性の妻役としてシリーズに登場しました。
劇団を離れた直後の2017年には、『宣伝会議』のインタビューで本人の目標が端的な言葉として紹介されています。
想定外を生める女優になりたい
出典:宣伝会議「『想定外を生める女優になりたい』多彩な引き出しを持つ伊勢佳世」(2017年2月7日)
劇団を離れてからも一つのジャンルに絞るのではなく、舞台を軸にしながら出演先を広げる経歴が続いています。
初の朝ドラ『虎に翼』で高校時代の同級生を驚かせる
2024年4月、伊勢さんはNHK連続テレビ小説『虎に翼』に出演しました。
第3回に登場したのは、主人公・猪爪寅子の進路を心配する女学校の女性教師役です。
伊勢さんにとって初めての朝ドラ出演でした。
ところが、その出演を高校時代の同級生である鈴木奈穂子さんには知らせていませんでした。
鈴木さんは放送直後の『あさイチ』で、前月にもメールをし、ときどき会っていた同級生が突然朝ドラに出てきたことに驚いたと話しています。
その日のInstagramストーリーズで、伊勢さんは黙っていた理由を明かしました。
ただただ、あの人を驚かせたくて、ずっと黙ってました。
出典:スポニチアネックス「NHK鈴木奈穂子アナ“朝ドラ受け”で仰天?!『虎に翼』に同級生俳優が… 本人も反応『驚かせたくて』」(2024年4月3日)
サプライズは成功し、高校時代から続く二人の関係が朝ドラをきっかけに広く知られることになりました。
さらに2026年、伊勢さんは連続テレビ小説『風、薫る』で山本テイ役を演じました。
同年7月6日には『あさイチ』へゲスト出演し、鈴木さんと番組で共演しています。
そこで二人は、高校1年生で同じクラスだったことをあらためて話しました。
ナオフィーがあさイチに出ることになってから、この番組に出るのが私の夢。
出典:デイリースポーツ「鈴木奈穂子アナ、高校時代の『妖精みたい』なニックネームが明らかに 同級生の朝ドラ女優と夢の共演」(2026年7月6日)
高校1年で同じ教室にいた二人は、2026年7月6日の『あさイチ』で並んで朝ドラ受けをしました。
伊勢さんが高校時代からの呼び名「ナオフィー」で鈴木さんを呼び、二人で笑う場面が放送されています。
















