中野有紗の生い立ち|家族と大学、身長の悩みからモデル・女優になるまで

中野有紗の肖像イラストと、「生い立ち」「家族と大学、身長の悩みからモデル・女優になるまで」の見出し

PROFILE

人物プロフィール

ふりがな
なかのありさ
カテゴリー
女優
出身地
東京都
芸能活動開始
2022年
女優デビュー
2022年
デビューのきっかけ
モデル

映画『PERFECT DAYS』で、役所広司さん演じる平山の姪・ニコ役を務めた中野有紗さん。

2005年に東京都で生まれ、雑誌『GINZA』でモデルデビューしたのち、初めての演技でヴィム・ヴェンダース監督作品に参加しました。

ただ、最初から女優だけを目指して芸能界へ入ったわけではありません。

学生時代には高い身長をコンプレックスに感じ、その部分を強みに変えたいという思いからモデルの仕事を始めています。

さらにさかのぼると、中学生だった2020年には家族と古い映画を見続けた時間があり、本人はその経験を演劇の道を考えるきっかけとして振り返っています。

今回は、そんな中野有紗さんの生い立ちや家族、学生時代と大学進学、モデルになったきっかけ、『PERFECT DAYS』で女優デビューするまでをご紹介します。

中野有紗の生い立ち|東京都で育った子ども時代

中野有紗さんは2005年生まれの東京都出身です。

子どものころから、映画や物語などの表現に自然と触れていました。

小さいころから物語を書くことが好きだった

俳優として知られるようになる前から、中野有紗さんには自分で物語を作ることへの興味がありました。

2024年のインタビューでは、将来やってみたいこととして声の仕事や文章、絵などを挙げるなかで、子どものころのことにも触れています。

「小さい時に物語を書くのが好きだったので」

出典:HERENESS「ヴェンダース監督はありのままの私を受け入れてくれた|中野有紗(俳優/モデル)」(2024年3月19日)

俳優という一つの仕事にだけ関心を絞っていたわけではなく、書くこと、描くこと、声で表現することにも興味を持っていたことが分かる発言です。

得意な楽器として和太鼓を挙げ、音楽ではグレン・ミラーやベニー・グッドマンなどのスウィング・ジャズを好むことも明かしています。

高い身長をコンプレックスに感じていた少女時代

公式プロフィールなどで公表されている身長は170cmです。

モデルの仕事に生かすようになったその身長を、本人は以前から前向きに受け止めていたわけではありませんでした。

モデルの仕事を始める前、中野有紗さんにとって高い身長はコンプレックスの一つだったといいます。

中野有紗の家族|母親譲りの映画好きと祖母への思い

中野有紗さんが昔から親しんできたものの一つが映画です。

その映画好きには、母親や家族と過ごした時間が深く関わっています。

母親の影響で古い映画に親しむ

中野有紗さんは母親の影響を受け、1950年代ごろの古い映画を好んで見るようになりました。

最初に見た作品として『ローマの休日』を挙げ、そこから小津安二郎監督や山田洋次監督、アルフレッド・ヒッチコック監督の作品などへ興味を広げています。

映画がさらに大きな存在になったのは、中学生だった2020年でした。

後に本人が振り返ったところでは、卒業旅行や運動会もなくなり、中学最後の思い出になるはずだった行事が失われた時期でもありました。

新型コロナウイルスの影響で学校が休校となり、周囲の人と直接会うことも難しくなった時期です。

映画『この夏の星を見る』の公式コメントで、中野有紗さんは当時の家での過ごし方をこう振り返っています。

「家族と一緒に、夜が明けるまで古い映画を順に観ていきました。」

出典:映画「この夏の星を見る」公式「キャスト・スタッフからのコメント②」(2025年4月10日)

歴史や音楽、美術、演技など、映画の中にそれまで知らなかった世界を次々と見つけていったそうです。

本人はこの時間について、演劇の道を目指すきっかけになったとも記しています。

2025年のイベントでも、2020年はまだ中学生で、卒業旅行や運動会がなくなった寂しさを振り返る一方、自宅で家族と昔の映画をたくさん見たことで自分の興味を育てる時間にもなったと話しました。

成人式を迎え、祖母へ手作りの贈り物

家族との関係は、俳優として活動を始めた後の本人発信からも垣間見えます。

2026年1月、中野有紗さんは自身が執筆したPOPEYE Webのコラムで、成人式を迎えた際に祖母へ手作りのマフラーを贈ったことを書いています。

祖母がよく身につけている紫色を基調に、小さな花を散りばめたマフラーを作り、ここまで見守ってくれた感謝を形にしました。

同じコラムでは、母親へバレリーナをモチーフにしたメイクポーチを作ったことも紹介しています。

また、刺繍を始めた際には自宅にあった母親の裁縫道具を取り出し、見よう見まねで始めたことも本人が書いています。

映画だけでなく、手仕事を通しても母親や祖母との具体的な思い出が残されています。

中野有紗の学生時代|高校卒業から大学進学へ

中野有紗さんは、モデルや俳優として仕事を始めた時期にも学生生活を続けていました。

高校卒業と大学進学の時期は本人インタビューから追うことができます

高校生活とモデル活動が重なった時期

2023年11月のVOGUE JAPANでは、中野有紗さんは「学生と表現者」という二つの立場を持つ人物として紹介されていました。

翌2024年1月のインタビューでは、聞き手から高校3年生として将来について尋ねられています。

2023年には『PERFECT DAYS』でカンヌ国際映画祭のレッドカーペットも経験しましたが、VOGUE JAPANでは役所広司さんから本を読み、勉強し、人として成長してほしいという趣旨の言葉をもらったことを振り返っています。

中野有紗さん自身も、俳優として仕事を始めたから学生生活を脇へ置くのではなく、学生として勉学にも励みたいと話していました。

このころにはすでにモデルの仕事を始め、『PERFECT DAYS』の撮影やカンヌ国際映画祭への参加も経験していました。

一方で、学生としての日常も残っていました。

高校時代によく訪れていた場所について、後の取材ではこんな話をしています。

「高校生のころよく行っていた街は吉祥寺です。」

出典:Mastered「中野有紗と紅葉。」(2024年11月28日)

吉祥寺では、広場のあるビルの屋上で友人と芝生に寝転んだり、紅葉した井の頭公園へ足を運んだりしていたそうです。

2024年3月の取材では「この春に高校を卒業する」と紹介されており、2024年春に高校を卒業したことが確認できます。

大学ではモデル・俳優と3つの生活を並行

高校卒業を前にした2024年1月、中野有紗さんは進路について自分の考えを話していました。

「大学進学も視野に入れつつ。」

出典:smart Web「【映画『PERFECT DAYS』】中野有紗がデビュー作で気づいた“今の東京”の魅力。そして語る『今』と『未来』」(2024年1月4日)

その後、2024年11月のMasteredでは、「モデル、役者、大学生」という3つの顔を持つ19歳として紹介されています。

つまり、大学名までは確認できないものの、高校卒業後に大学へ進学したこと自体は確認できます

大学では空きコマをシアタールームで過ごすことが多く、映画を見る時間を学生生活の中にも置いていました。

大学名について:2024年11月には大学生として紹介されていますが、大学名を確定できる本人発言などは見当たりません。「早稲田」は女優とは別の同姓同名の人物に関する情報も混在しているため、大学名として扱うことはできません。

中野有紗がモデルになったきっかけ|身長の悩みを強みに

演劇への興味が生まれていた一方、芸能界へ入るときの具体的な目標はモデルでした。

高い身長へのコンプレックスを、自分の強みに変えようと考えたことが仕事を始める理由になります。

モデルを目指して事務所へ

中野有紗さんが所属したのは、モデルや俳優が在籍するétrenne(エトレンヌ)です。

事務所へ入った目的については、本人がはっきりと話しています。

「もともと、モデルになりたくて事務所に入ったんです。」

出典:smart Web「【ヴィム・ヴェンダース監督最新作】映画『PERFECT DAYS』で女優デビューを果たした中野有紗が登場!『ありのままの私でニコを演じました』」(2023年12月3日)

この時点では、女優の仕事についても「いつか挑戦できたら」という距離感だったと続けています。

2020年の映画体験をきっかけに演劇への興味は持っていましたが、芸能活動の入口として選んだのはモデルでした。

『GINZA』でモデルデビュー

中野有紗さんは雑誌『GINZA』でモデルデビューしました。

その後はファッション誌や広告、ショーへ仕事を広げていきました。

所属先の活動歴には『VOGUE JAPAN』『SPUR』『装苑』などのファッション誌や、ブランド・企業広告への出演が並んでいます。

この時期の本人にとってモデルが芸能活動の出発点だったことが、俳優デビューまでの順序を理解するうえで重要です。

2023年12月のインタビューでは、モデル活動を始めて約1年と紹介されています。

まだモデルとしてのキャリアも始まったばかりだった時期に、俳優として最初の仕事が決まります。

中野有紗の女優デビュー|初演技が『PERFECT DAYS』

中野有紗さんの俳優キャリアを語るうえで外せない作品が、ヴィム・ヴェンダース監督の映画『PERFECT DAYS』です。

映画公式プロフィールでも、『PERFECT DAYS』が中野有紗さんの女優デビュー作と明記されています。

モデル活動約1年でヴィム・ヴェンダース作品へ

『PERFECT DAYS』で演じたニコは、役所広司さん演じる主人公・平山の姪です。

母親とけんかをして家を出たニコが、長く会っていなかった叔父のもとを訪れることで、平山の日常に変化が生まれます。

世界的な監督の作品でしたが、中野有紗さんにとってはこれが人生で初めての演技でした。

しかもヴェンダース監督は、出演が決まる前から名前を知っている映画監督でした。

中野有紗さんは『ベルリン・天使の詩』や『パリ、テキサス』を以前から見ており、突然まったく知らない監督の現場へ飛び込んだわけではありません。

当時の状態について、VOGUE JAPANのインタビューでは率直に話しています。

「私は演技をすることが初めてで、右も左もわからない状態でした。」

出典:VOGUE JAPAN「アオイヤマダ & 中野有紗──『何をするにも、愛だけは捨てたくないですね』(アオイ)『もっと一人ひとりの方たちにありがとうって伝えたい』(中野)【THE ONES TO WATCH 2023 vol.5】」(2023年11月21日)

HERENESSの取材でも、役をもらえた喜びと同時に、初めての演技への責任や怖さが入り混じっていたことを明かしています。

「そのままでいい」と始まったニコ役

ヴェンダース監督と初めて会ったのは、撮影前の衣装合わせでした。

そこで監督からニコが作品にとって重要な人物だと伝えられ、中野有紗さんは役への意識を深めていきます。

演技の正解が分からないなか、監督は作り込みすぎることを求めず、本人の自然な部分を受け入れながら撮影を進めました。

一方で準備をしなかったわけではなく、小津安二郎監督の『東京物語』『晩春』『秋刀魚の味』『お早よう』などを見て、人間関係の描き方やカメラワークを学んでいます。

モデルとしてカメラの前に立ち始めて間もない高校生が、初演技でニコとしてスクリーンに立った作品でした。

同時期に短編映画『縁々』にも主演

『PERFECT DAYS』と同じ2023年、中野有紗さんはなら国際映画祭のプロジェクト「NARAtive Jr.」で製作された短編映画『縁々』にも主演しました。

監督は、なら国際映画祭のユース映画制作ワークショップに中学生のころから参加していた村松希祥さんです。

『縁々』は2023年2月に撮影され、同年にはショートショート フィルムフェスティバル&アジアで紹介されたほか、なら国際映画祭 for Youthでも上映されています。

村松監督は中野有紗さんを主演に選び、奈良の自然の中で作品を撮影しました。

中野有紗さんも舞台挨拶で、新人として作品に参加したことに触れながら、登場人物の繊細な心や奈良の美しさを届けたいという趣旨の思いを話しています。

ただし、中野有紗さん自身が「初めての演技」と振り返り、映画公式も女優デビュー作としているのは『PERFECT DAYS』です。

中野有紗の新人時代|大学と両立しながら主演・映画賞へ

『PERFECT DAYS』の後は、モデルを続けながら映画やドラマで役を重ねていきました。

大学へ進んだ時期とも重なり、学生生活と俳優活動を並行しながら主演作や連続ドラマへと仕事の幅が広がっていきます。

『まだゆめをみていたい』主演から連続ドラマへ

2024年7月には、Huluオリジナル作品『まだゆめをみていたい』で主人公・前田夢子を演じました。

監督・脚本は、Hulu U35クリエイターズ・チャレンジでグランプリを受賞した瀬名亮さんです。

中野有紗さんが演じる夢子は漫画家を目指して作品を描き続け、入賞や落選を経験しながら自分の夢と向き合っていきます。

夢子は都内の大学へ通いながら漫画家を目指す人物で、中野有紗さんは長編作品の中心を担う役に挑みました。

2025年には、カンテレ・フジテレビ系『僕達はまだその星の校則を知らない』で北原かえで役を演じています。

北原かえでは高校3年生で、生徒会・議長団議長を務める一方、家庭に複雑な事情を抱える生徒として物語に参加しました。

本人は出演決定時の公式コメントで、これが初めての連続テレビドラマ出演だと明かしました。

『この夏の星を見る』『この場所』で広がった俳優活動

2025年の映画『この夏の星を見る』では、長崎・五島の高校に通う佐々野円華役を演じました。

作品の舞台は2020年のコロナ禍で、中野有紗さん自身も当時は中学生でした。

その2020年に家族と古い映画を見続けた経験を本人が語ったのも、この作品の公式コメントでした。

同作での演技により、2025年のTAMA映画賞で最優秀新進女優賞を受賞しています。

TAMA映画賞では、登場人物の内面を受け止め、表情だけでなく身体全体で表現する感性などが選考理由として挙げられました。

さらに、日比合作映画『この場所』では主人公・レイナ役を務めました。

レイナは日本人の父とフィリピン人の母を持つ人物で、父の死後に疎遠だった異母姉と向き合っていく物語の中心に立ちます。

作品は2026年2月28日に日本公開され、中野有紗さんは第48回ガワッド・ウリアン賞で最優秀女優賞を受賞しています。

同賞で外国人俳優が最優秀女優賞を受賞したのは史上初とされ、モデルから始まった活動は、日本とフィリピンの合作映画で主演を担うところまで広がりました。

初めてカメラの前で演じた高校時代から数年後、中野有紗さんは大学生活を続けながら、映画主演と連続ドラマ、国内外の映画賞を経験する俳優になっています。