小久保寿人の生い立ち|若い頃の舞台活動と蜷川幸雄との出会い

小久保寿人の生い立ちと若い頃の舞台活動、蜷川幸雄との出会いを、人物イラストと舞台照明・台本で表現したビジュアル

PROFILE

人物プロフィール

ふりがな
こくぼとしひと
カテゴリー
男性俳優
出身地
愛知県
生年月日
1984年11月4日
芸能活動開始
2006年
俳優デビュー
2006年
デビューのきっかけ
舞台・演劇

『君と世界が終わる日に』の坪井役をはじめ、さまざまなドラマや映画で存在感を見せている俳優の小久保寿人(こくぼ・としひと)さん。

2020年の『半沢直樹』や、映画『キングダム2 遥かなる大地へ』などにも出演し、幅広い役柄を演じてきました。

そんな小久保さんの俳優としての歩みをさかのぼると、2006年の舞台出演と、蜷川幸雄さんが率いた演劇集団「さいたまネクスト・シアター」での日々にたどり着きます。

2009年に劇団の第1期生となり、2013年には蜷川さん演出の『オイディプス王』で主役を務めました。

一方で、愛知県で過ごした子ども時代や家族については、本人が後年のインタビューで語った小さな思い出も残されています。

今回は、そんな小久保寿人さんの生い立ちや家族、学生時代、舞台俳優として活動を始めた頃から映像作品へ進出するまでの歩みをご紹介します。

小久保寿人の生い立ち|愛知県出身と幼少期

小久保寿人さんは、1984年11月4日生まれ、愛知県出身です。

所属事務所の公式プロフィールには、身長177cm、特技はドラムや水泳、殺陣、乗馬、三河弁と記載されています。

俳優になる以前の詳しい生活はあまり語られていませんが、2022年の舞台インタビューでは、子どもの頃の愛知県での暮らしを少し振り返っています。

愛知県で生まれ育った小久保寿人

2022年12月に新国立劇場で上演された舞台『夜明けの寄り鯨』は、和歌山県の港町と鯨をめぐる物語でした。

出演者インタビューで鯨にまつわる思い出を聞かれた小久保さんは、愛知県で過ごした幼少期について、こんな話をしています。

家族で食べる機会もありました。

出典:新国立劇場「『夜明けの寄り鯨』出演・小島 聖、池岡亮介、小久保寿人 インタビュー」(2022年)

当時の愛知県ではスーパーなどでも鯨肉が売られており、小久保さんの家庭でも食卓に並ぶことがあったそうです。

大人になってから捕鯨をめぐる社会的な議論を知り、子どもの頃には特別に意識していなかった食文化について考えるようになったことも話しています。

生まれ育った地域の生活を、俳優になってから出演した作品を通じて思い返す機会があったのです。

なお、愛知県半田市出身という情報も見られますが、所属事務所の公式プロフィールでは出身地を愛知県としています。

水泳・空手・ドラムとの関わり

小久保さんのプロフィールで目を引くのが、身体を使う活動と音楽の両方に関する経歴です。

水泳では県大会への出場経験があり、和道流空手は2段の資格を持っています。

さらに、ドラムや殺陣、乗馬も特技として挙げられています。

水泳や空手を何歳から始めたのか、学生時代にどのような練習をしていたのかまでは、詳しい経緯が明らかになっていません。

ただ、県大会への出場や空手2段という実績からは、俳優として舞台に立つ以前にも、スポーツに取り組んでいた時期があったことが分かります。

小久保さんは、普通自動車第一種免許のほか、公式プロフィールに「准教員免許」と記載される資格も持っています。資格を取得した学校や時期、取得の理由については明らかになっていません。

小久保寿人の家族|父親・母親・兄弟姉妹について

小久保寿人さんの父親や母親、兄弟姉妹については、家族構成を詳しく紹介した公式プロフィールや本人インタビューは限られています。

父親の名前や職業、母親の経歴、兄弟姉妹の人数などは、確かな情報として確認できる範囲が少なく、具体的な家族構成を断定することはできません。

一方で、本人が家族との幼少期の思い出を語ったことはあります。

2022年の新国立劇場のインタビューで触れていたのは、愛知県で家族と鯨肉を食べていたという記憶でした。

特別な記念日や大きな出来事ではなく、地域の食文化が家庭の中にあったという日常的なエピソードです。

家族の人数や詳しい暮らしぶりまでは分からないものの、愛知県で育った頃の食卓を、俳優になった後も覚えていたことが伝わってきます。

また、父親については、同じ「小久保」という姓を持つ著名人との関係を気にする声もありますが、親子関係を裏付ける確かな資料はありません。

小久保さん自身が、家族について語った範囲と、名前の一致だけから生まれた推測とは区別しておく必要があります。

小久保寿人の学生時代|高校・大学と進路

小久保寿人さんの出身高校や大学については、具体的な学校名を確認できる公式プロフィールはありません。

大学へ進学したのか、専門学校などで学んだのかについても、本人の明確な発言は見つかっていません。

所属事務所のプロフィールには准教員免許を持っていることが記されていますが、その資格だけで出身大学や専攻分野を特定することはできません。

また、水泳での県大会出場経験や空手2段の資格があるものの、それらが小学校・中学校・高校のどの時期の経験なのかも明らかになっていません。

学生時代から俳優を目指していたのか、学校を卒業してから演劇の道へ進んだのかについても、確かな経緯は不明です。

ただ、少なくとも20代に入った頃には、舞台に立つ俳優としての活動が確認できます。

その記録が残っているのが、2006年の舞台『黄金バット2006』です。

2006年の舞台出演|俳優としての活動が始まる

小久保寿人さんの所属事務所が公表している出演歴をさかのぼると、2006年の舞台『黄金バット2006』が初期の活動記録として確認できます。

これは、蜷川幸雄さんが率いた「さいたまネクスト・シアター」に参加するよりも前のことでした。

『黄金バット2006』に出演

2006年、小久保さんは三浦浩一さんが演出した舞台『黄金バット2006』に出演しました。

会場は東京・池袋のシアターグリーンでした。

この舞台に出演したとき、小久保さんは21歳でした。

当時どのような役を演じたのか、出演に至ったオーディションや稽古の様子については、詳しい記録を確認できていません。

また、この作品以前に演技をした経験があったかどうかも明らかではないため、『黄金バット2006』を無条件に「人生で初めて演技をした作品」と断定することはできません。

それでも、2006年には東京の劇場で舞台俳優として活動していたという点は、小久保さんの経歴を知るうえで大切な事実です。

『Waiting for the Sun』など初期の舞台活動

翌2007年には、奈良橋陽子さんが演出した『Waiting for the Sun 天気待ち』に出演しました。

この作品は東京芸術劇場の小ホールで上演され、映画版にも出演しています。

さらに2008年には、唐十郎さん作、菅田俊さん演出の舞台『少女都市からの呼び声』にも参加しました。

上演されたのは、新宿梁山泊のアトリエです。

こうして2006年から2008年まで、演出家や劇場の異なる舞台を経験していきました。

その後の2009年、小久保さんは演出家・蜷川幸雄さんが立ち上げた若手演劇集団の第1期生となります。

蜷川幸雄との出会い|さいたまネクスト・シアター第1期生へ

2009年、演出家の蜷川幸雄さんは若手俳優を育てるための演劇集団「さいたまネクスト・シアター」を立ち上げました。

小久保寿人さんは、その第1期生として活動を始めます。

蜷川さんは『ハムレット』や『ロミオとジュリエット』など、国内外の多くの舞台を手がけた演出家です。

2009年のオーディションと劇団への参加

さいたまネクスト・シアターの旗揚げに向けたオーディションには、1225人が応募し、44人が選ばれました。

小久保さんも第1期生として名を連ね、蜷川さんの演出する舞台で経験を重ねることになります。

このとき24歳だった小久保さんには、すでに2006年からの舞台出演歴がありました。

そのため、2009年は俳優活動を初めて開始した年ではなく、蜷川幸雄さんのもとで新たな演劇活動を始めた年と整理できます。

本人が当時どのような思いで劇団のオーディションに挑んだのか、具体的な応募理由については明らかになっていません。

『真田風雲録』から始まった蜷川作品への出演

2009年には、蜷川幸雄さん演出の舞台『真田風雲録』で海野六郎役を演じました。

翌2010年には、さいたまネクスト・シアターによる『美しきものの伝説』に出演し、荒畑寒村役を務めています。

2011年には『アントニーとクレオパトラ』、2012年には『ハムレット』にも出演しました。

『ハムレット』で演じたのは、主人公ハムレットの友人であるホレイシオ役です。

シェイクスピア作品から日本の近現代演劇まで、異なる時代や世界観の舞台で役を担っていきました。

2022年の新国立劇場のインタビューでは、蜷川さんとの稽古について、俳優が自分なりに役の解釈や演じ方を決めて持ち込み、演出家に見せることから始まっていたと振り返っています。

演出家から細かな指示を待つのではなく、まず自分で役を考え、試してみることが求められる稽古でした。

その中で複数の作品に出演した小久保さんは、2013年に大きな役を任されます。

『オイディプス王』主演|舞台俳優として重ねた経験

2013年、小久保寿人さんは蜷川幸雄さん演出の舞台『オイディプス王』で、主人公のオイディプスを演じました。

ギリシャ悲劇の代表的な作品でタイトルロールを担うことになったのです。

蜷川幸雄の稽古で求められた演技

小久保さんが蜷川さんの稽古について詳しく語ったのは、2019年に新国立劇場で上演された『あの出来事』の出演者インタビューでした。

そこで紹介したのが、蜷川さんから役者たちへ向けられていたという言葉です。

俺の想像を超えるものを持ってこい!

出典:新国立劇場「『あの出来事』出演・南 果歩、小久保寿人 インタビュー」(2019年10月21日)/小久保さんが振り返った蜷川幸雄さんの言葉

小久保さんは、蜷川さんのもとでは自分から動かなければ怒られ、場合によっては役を外されることもあったと、笑いを交えながら話しています。

自分で考えたものを稽古場に持ち込むという経験は、蜷川さんが亡くなった後も、小久保さんの演技への取り組み方に残っていました。

2022年の『夜明けの寄り鯨』では、これまでと反対に、共演者たちと本番まで時間をかけて役を探っていく方法に挑戦したいとも話しています。

一つの演出方法にとどまらず、別の稽古の進め方にも向き合おうとしていたのです。

2013年『オイディプス王』で主役を務める

2013年2月、小久保さんは『2013年・蒼白の少年少女たちによるオイディプス王』でオイディプス役を務めました。

さいたまネクスト・シアター第4回公演として、彩の国さいたま芸術劇場で上演された作品です。

この公演では川口覚さんとのダブルキャストで主役を担当し、公演記録にも「小久保版」として残されています。

2009年に劇団の第1期生となってから約4年。

蜷川作品への出演を積み重ねた小久保さんは、ギリシャ悲劇の主人公を演じる立場になりました。

同じ2013年には『盲導犬―澁澤龍彦「犬狼都市」より―』にも出演し、タダハル役を務めています。

この作品には宮沢りえさんも出演しており、蜷川さんの演出する舞台で共演しました。

さらに2014年には『カリギュラ』でエリコン役、2015年には『リチャード二世』に出演するなど、蜷川作品への参加を続けています。

こうした舞台活動と並行して、映画やテレビドラマへの出演も増えていきました。

舞台から映像作品へ|2019年の大きな転機

小久保寿人さんは舞台で活動する一方、2009年にはテレビドラマ『傍聴マニア09〜裁判長!ここは懲役4年でどうすか〜』にも出演していました。

2010年の映画『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』、2012年のドラマ『もう一度君に、プロポーズ』、2015年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』などにも参加しています。

2019年には、テレビドラマのオーディションで役を獲得し、新国立劇場では南果歩さんとの舞台にも出演しました。

『やすらぎの刻〜道』で約5000人応募のオーディションを突破

2019年、小久保さんはテレビ朝日系の帯ドラマ『やすらぎの刻〜道』に出演しました。

この作品は、脚本家・倉本聰さんが手がけた『やすらぎの郷』の続編です。

劇中に登場する物語「道」では、若い時代の登場人物を演じる俳優を大規模なオーディションで選出しました。

応募者は4965人に上り、小久保さんもその中から選ばれ、出演しています。

20代から積み重ねてきた舞台経験を経て、30代半ばで大規模なテレビドラマのオーディションを突破したという経歴が残りました。

同じ2019年には、NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』で三上卓中尉役を演じています。

テレビドラマへの出演を続けながら、舞台でも新しい役柄に挑戦していました。

南果歩との『あの出来事』で複数の役を演じる

2019年11月、小久保さんは新国立劇場で上演された舞台『あの出来事』に出演しました。

共演は南果歩さん、演出は瀬戸山美咲さんです。

この作品は、2011年にノルウェーのウトヤ島で起きた銃乱射事件をモチーフにした戯曲で、日本初演となりました。

南さんは事件から生き残った合唱団の女性指導者・クレアを演じ、小久保さんは犯人の少年をはじめ、カウンセラーや父親、友人、政治家など、クレアが出会う複数の人物を一人で演じました。

登場人物それぞれを別人として作り分けるだけでなく、なぜ一人の俳優がこれらの役を担うのかを考えながら、役作りに取り組んでいたそうです。

特に犯人の少年については、単純に悪人として表現するのではなく、一人の人間として捉えようとする考えをインタビューで語っています。

また、共演する南果歩さんについては、以前に映画で一緒になったときのことも振り返っていました。

当時の小久保さんは金髪で眉毛もない姿だったそうで、再共演を前に、その頃の姿と現在では印象が違うだろうと笑いながら話しています。

新国立劇場の公式YouTubeでは、『あの出来事』の稽古場の様子と、演出家のコメントを収めた映像が公開されています。

この舞台での経験を経て、2022年には再び新国立劇場の舞台『夜明けの寄り鯨』に出演しました。

それまでの蜷川作品とは異なる、同時代の人々の日常を描いた会話劇で、ヤマモト役を演じています。

作品の世界観や演出方法が変わる中でも、舞台での活動を続けてきました。

『君と世界が終わる日に』坪井役までの俳優としての歩み

2000年代から舞台で活動を始めた小久保寿人さんは、2010年代にテレビドラマや映画への出演を重ね、2020年代には連続ドラマで印象的な役を演じるようになります。

その中でも長く演じた役の一つが、2021年に始まったドラマ『君と世界が終わる日に』の坪井です。

『半沢直樹』などテレビドラマへの出演

2020年には、TBS日曜劇場『半沢直樹』に出演しました。

この時期までに『メゾン・ド・ポリス』『やすらぎの刻〜道』『いだてん』などに参加しており、映像作品でも経験を積んでいました。

映画では『シン・ゴジラ』『検察側の罪人』『花束みたいな恋をした』などにも出演しています。

2022年には『キングダム2 遥かなる大地へ』にも参加しました。

舞台ではギリシャ悲劇やシェイクスピア作品を演じ、映像では現代劇や時代劇など、作品ごとに異なる人物を担ってきたことが分かります。

2021年、刀集団のリーダー・坪井役を演じる

2021年1月に始まった日本テレビとHuluの共同製作ドラマ『君と世界が終わる日に』では、大量の刀を所持する集団を率いるリーダー・坪井役を演じました。

竹内涼真さん演じる間宮響たちが、ゴーレムと呼ばれる感染者によって変わり果てた世界を生き抜くサバイバルドラマです。

坪井は、人間の言葉を信じなくなり、相手の行動を見て判断する人物として描かれています。

2021年1月24日に公開された日本テレビの公式キャストコメントで、小久保さんは坪井の人物像をこう説明していました。

だから自分も多くは語らず行動で示していく。

出典:日本テレビ「小久保寿人『君と世界が終わる日に』で演じる『人間の言葉を信じることをやめた』キャラクター」(2021年1月24日)

小久保さん自身は坪井について、冷静で現実的な人物であり、他人との関係を狭く深く築いていく性格だと捉えていました。

言葉よりも行動を重視する人物だからこそ、発言の少ない場面でも行動や表情によって人物像を伝える役柄でした。

番組公式Xでは、2021年3月21日に、坪井たち刀集団のメンバーが並んだオフショットも公開されています。

坪井はSeason1だけで終わる役ではなく、その後のシリーズにも登場しました。

2022年のSeason3、2024年のSeason5にも出演し、2021年から複数のシーズンにわたって同じ人物を演じ続けました。

2006年の『黄金バット2006』から始まる出演記録、蜷川幸雄さんのもとでの舞台経験、そして長期シリーズとなった『君と世界が終わる日に』の坪井役。

異なる演出家や作品の中で役を重ねてきた小久保さんの歩みは、一つの役を数年にわたって演じた坪井の姿にも表れています。